注目企業・特集2023年2月号掲載
~THK社の製品&技術紹介~
工作機械の生産性を上げるTHKからの提案
- ~製造業を支援するAIソリューションなどをJIMTOFに出展~
- THK株式会社(東京都港区芝浦2-12-10)
JIMTOF会場では、製造業の生産性を向上させる様々な新製品が出品されたTHKのブースに多くの来場者が訪れた2022年11月8日~13日に東京ビッグサイトで開催された工作機械の世界的な見本市『JIMTOF2022(第31回 日本国際工作機械見本市』。新型コロナウィルスの影響で4年ぶりの開催ということもあり、会場には11万人以上の来場者が訪れて大いに賑わった。この中、工作機器で高いシェアを持つTHKは、〝動き〟の技術で工場での生産活動をサポートする、多彩なロボットやAIを用いた工具監視ソリューションなどを出展。同社のブースには、工場のIoT化を検討する大勢の人々が集まった。
工具寿命を最適化できるIoTサービス
「工具監視AIソリューション」の展示では、切削工具の状態をモニタリングする様子がモバイル端末で確認できる THK製品で今回の目玉の一つとなったのが、製造業向けIoTサービス「OMNIedge(オムニエッジ)」に新たに加わった「工具監視AIソリューション」である。「OMNIedge」は、製造現場で発生するロスを削減し、設備総合効率(OEE)の向上に貢献するソリューションとしてTHKが提供するIoTサービス。製造現場で発生する部品の異常や交換ロスなどをAIによる監視で事前に予兆検知できる。これまでに、LMガイド、ボールねじ、アクチュエータなどの直動部品からサービスを開始し、プロセスオートメーションやユーティリティ設備向けのモータ、ポンプなど回転部品まで対象を広げてきた。今回追加された「工具監視AIソリューション」は、この「OMNIedge」による部品予知検知の対象として、工作機械で用いる切削工具に着目したもの。これまで切削工具は、欠損や加工不良を避けるために早期交換するのが現場の鉄則で、異常が無くても交換することで必然的にムダなコストが積み上がるという課題があった。だが、切削工具の欠損や摩耗度をAIで検知できれば、工具をムダなく最大限まで活用できるほか、切削不良や手直しロスなどの心配も無くすことが可能となる。「工具監視AIソリューション」では、切削工具の欠損/チッピングの検知、さらには摩耗度のモニタリング検知などを実現。これにより工具寿命の最適化、工具交換のコスト削減、加工不良発生時の手直しロス削減などにつながり、高い費用対効果が期待できる。また、センサから収集したデータはAIが自動解析し異常検知を行うので、繰り返し使うほど進化し、精度も向上する。その上、後付けが可能なので、現場で稼働している年式やメーカーの異なる工作機械でも簡単に導入できる。面倒なパラメータ設定などが一切不要なことも魅力だろう。切削工具の課題解決につながるIoTサービスと言える。
高速性に優れた旋回軸受「BWH形」
高速複列アンギュラリング「BWH形」は非常に優れた高速性を発揮する旋回軸受で、工作機械の回転機構の性能向上に貢献 高速複列アンギュラリング「BWH形」は、内輪と外輪の間に保持器で複列にボールを配列した旋回軸受。あらゆる方向からの荷重が受けられ、高い剛性と回転精度を発揮する。旋回軸受で用いられる転動体をローラーからボールに変更した新構造により、THK史上最も高速性に優れた旋回軸受だ。ボールへの置き換えにより、連続した高速回転でも発熱による温度上昇が大幅に抑制でき、今までカバーしきれなかった高速回転領域の市場ニーズへも対応が可能になる。特に工作機械市場の中で、生産ラインの工程集約につながるマシニングセンタや複合加工機、旋削機能の搭載をはじめとした回転テーブルの高速稼動など、マシン性能の高機能化と生産性向上に貢献できる。多様な用途に対応が可能な旋回軸受だ。
作業の自動化に貢献する省力化モジュール
円筒座標型モジュール「MLS」は、昇降・旋回・伸縮など各軸の動きをモジュール化して単純作業を自動化する、新しいタイプのロボット 円筒座標型モジュール「MLS」は、部品の仕分けやワークのピッキングといった単純作業の自動化に適した新しいタイプのロボット。THKが得意とする直動や回転の動きを組み合わせたシンプルな機構により、昇降・旋回・伸縮など、ロボットの動きの各軸をモジュール化したものだ。製造現場には部品の仕分けや簡単な組立てなど様々な単純作業がある。この省力化モジュールでは、こうした単純作業をロボットの力を用いて自動化できる。作業目的を絞ったロボットを、必要最小限の直線と回転の動作を組み合せてモジュール化してあるため、素早い立ち上げが可能となり、復旧に掛かる工数も削減できる。また、狭い場所やクレーンが入らない場所にも持ち込みができるので、どこにでも設置がしやすく、一般的なPLCで操作が可能なほど制御も簡単なので導入も容易だ。その上、昇降・旋回・伸縮の3種類のモジュールを組み合わせることで、現場の状況に合わせた動きが可能となり、幅広い作業に対応ができるのも強みだ。1台で周囲300°1580㎜四方の広い作業領域を確保できるため、様々な作業の完全自動化が可能となる。導入が容易で、作業の自動化に幅広く貢献できるため、製造業の現場で活用しやすい省力化モジュールと言えるだろう。他にも、THKのブースでは、「LMガイド防塵オプション」など、様々な新製品の展示やデモンストレーションがあった。この製品はプロテクタにより異物除去機能を向上させ、防塵性能を強化して、悪環境下でも長期間にわたってLMガイドの性能を維持できるというもの。このような製品群の導入を検討することで、飛躍的な生産性の向上が実現できるだろう。