注目企業・特集2020年3月号掲載
~THK社の製品 & 技術~
国際ロボット展で生産・物流を支えるシステムを提案
- ロボットを使いやすく。THKが構築する工場自動化
- THK(東京都港区芝浦2-12-10)
国際ロボット展の会場では
THKのブースが国内外の来場者で
盛況となった
世界最大規模のロボット・トレードショーである『2019 国際ロボット展』が2019年12月18日~21日に東京ビッグサイトで開催。会場には国内外から14万人以上の来場者が訪れ、大いに賑わった。この中、工作機器で高いシェアを持つTHKは、〝動き〟の技術によって工場での生産作業をサポートする、協働ロボットやロボットハンドシステムなどを出展。同社のブースには、工場のIoT化を検討する大勢の人々が集まった。
「ロボット走行軸用モジュール」で生産性向上
「ロボット走行軸用モジュール」は、
ロボットの作業範囲を拡張し、
複数装置での活用を可能にする
今回のTHK製品で目玉となるのが、「ロボット走行軸用モジュール」。工場内を産業用ロボットが移動するためのロボット走行軸をモジュール化したものだ。搬送、組立、溶接などにおけるロボットの作業範囲を拡張し、複数装置での活用を可能にする。搭載するロボットの質量別に4種類のラインナップがあり、最大300kgまで各メーカーのロボットを搭載可能だ。今後さらに大きなロボットを搭載可能なモジュールもラインナップを予定している。
従来では、導入するロボットの種類や用途に応じてシステムインテグレーター(SIer)が運用システムの設計や構築を一から行う必要があり、設備導入までに時間が掛かった。だが、この製品では走行軸がモジュール化されているため、設計・組立工数を削減し、設備立ち上げまでの時間を大幅に短縮。ロボットの取付プレートやロボットスタンドを用意しており、容易にロボットを取り付けられる。また、転動面にサーキュラーアーク溝を採用した、ミスアライメントに強い特長を持つLMガイドHSRを採用しており、水平だしの難しい箇所でも長寿命と長期間の精度維持が可能となる。
さらに、小型ロボット向けのベルト駆動と大型向けのラックアンドピニオン駆動の2種類から駆動仕様を選択可能。ベルト駆動のストロークは最大4.7m。一方、ラ ックアンドピニオン駆動では、設備に合わせてつなぐことが可能で、最大20mまでストロークを延長できる。
加えて、同モジュールでは、ラック自動給油装置やマルチスライダ、踏板カバー、ケーブルチェーンなど、各種アクセサリを取り揃えており、工場のスペースや環境に合わせた自由な設計ができるのも大きなメリットだ。機械部品から工作機械まで工場内設備を幅広く取り扱う同社だからこそ可能となったモジュールと言える。
同モジュールにより、各社の様々なロボットが同一走行軸で活用できる。作業範囲が拡大し、1台で複数の工程を遂行させられるため、生産性の向上にも貢献。ロボ ットの可能性が広がる。
「PRS」が物流業界の仕分けを自動化
「ピッキングロボット
ハンドシステム(PRS)」は、
仕分け作業の“見る・取る・移す”の
自動化を実現
一方、物流業界向けにTHKが提案したのが「ピッキングロボットハンドシステム(PRS)」だ。これは同社が開発した高性能ロボットハンドを搭載し、仕分け作業の“見る・取る・移す”の自動化を実現したオールインワン型のピッキングシステムだ。
仕分けのターゲットとなる棚にスライダとロボットア ームでハンドを素早く正確に移動させ、ハンド部に搭載した近赤外線カメラで高度な画像処理を行うことで約2万アイテムの製品を認識する。高性能な4本指のロボットハンドにより、箱状・円筒状・袋状など、様々な形状のアイテムをしっかりと掴み、1つのハンドで多品種アイテムのピッキングを実現した。現行の棚からピッキングができ、既存システムへのビルトインも可能。短期間かつ低コストでセットアップできる。
PRSは多品種で様々な形状のアイテムを正確に仕分けし続けるため、生産性も高い。コンビニやeコマース業界など、物流センターのピッキング自動化に最適だ。
協働ロボットNEXTAGEが単純作業を代行
新型NEXTAGE「NXAシリーズ」は、
人を単純作業から解放する
次世代ヒト型ロボット
また、同社では労働力をサポートするロボットシステムも提供している。新型NEXTAGE「NXAシリーズ」は、人と共存し、人を単純作業から解放する次世代ヒト型ロボットだ。頭部のステレオカメラで周辺機器との距離を測定し、4つのハンドカメラで詳細な位置情報を認識。カメラと画像認識機能によって移動作業時でも人手による位置調整が不要となり、直ぐに稼働が可能。THKインテックスが販売するAGVや、スライダユニットを追加すれば可動範囲をさらに拡大できる。標準化されたハンドは、8種類のネイルを組み合わせて様々なワークのハンドリングが可能だ。組立や箱詰めなどの単純作業のほか、危険が伴う作業や、人との共同作業など、幅広い作業に対応して人のサポートが可能で、多彩な周辺オプションとノウハウによって最適なロボットエンジニアリングが提供できる。
今後は他協働ロボットについてもエンジニアリング範囲を広げ、様々なニーズに対応していく。