注目企業・特集2024年2月号掲載
〜キトーの製品&技術〜
工場や倉庫での重筋作業から解放する搬送装置を出展
- 国際ロボット展でキトーが披露した荷役・搬送の課題解決
- キトー(東京都新宿区西新宿2-4-1 新宿NSビル9F)
【写真①】キトーの出展ブースには次々と来場者が訪れ、最新の電動バランサなどに直接触れて軽やかな動きを体感していた世界最大規模のロボット・トレードショー『2023国際ロボット展』が2023年11月29日~12月2日に東京ビッグサイトで開催。キトーは、重筋作業から解放する様々な搬送装置を出展。搬送を課題とする工場や倉庫、店舗、物流業界など、幅広い来場者でブースは一際にぎわった。
キトーは、チェーンブロックやロープホイストなどのホイスト機器を主力とするマテリアル・ハンドリング機器の総合メーカー。今回、キトーが市場投入したのは、小容量の荷物に対応した「定格荷重30kg・60kg 電動チェーンバランサ」、人に換わってロボットが電動バランサをアシストする「バランサ ロボット コラボレーシ ョンシステム」、鉄板など最大250kgの重量物を天吊りで移動できる「大型ワーク搬送システム」などだ。
誰もが簡単に使えて重量物を楽々と搬送できる。そんな機器を提案することで、製造現場の作業効率アップに貢献する。
小容量タイプ追加で幅広い作業に対応
【写真②】小容量タイプの「定格荷重30kg・60kgのキトー電動チェーンバランサ」は、コンテナやタイヤなども軽々と持ち上がる今回、注目のひとつが、新たにラインナップに加わった「定格荷重30kg・60kg キトー電動チェーンバランサ」だ。すでに発売中の「75kg・150kg・250kg」に加え、「30kg・60kg」の小容量タイプを追加。これにより、タイヤや一斗缶など、小容量の荷物を一つずつ移動する作業にも対応し、より幅広いユーザーの作業改善に役立つようになる。
キトー電動チェーンバランサは、無重力のようなバランス感覚で荷物を両手でハンドリングできる搬送装置。直観的に操作ができ、高い応答性と超低速動作により、安全に正確な位置決めが可能だ。また、無線操作も可能なため、大きい吊り荷の搬送や長い揚程が必要な環境でも安心して使用できる。さらに「30kg・60kg」タイプは、商業用の三相200V だけでなく、家庭用電源である単相100V/200Vタイプもあり、様々な場所で広く使用できる。狭い場所でも荷物の上げ下ろしが簡単なうえ、力の弱い人でも30kg/60kgの重荷を楽々と移動が可能だ。
加えて、キトーではさまざまな吊り具を用意。繊維スリング、チェーンスリング、リフティングポイントなどのほか、段ボールや一斗缶、ガラス、タイヤ、プラスチ ックコンテナなど、運びたいものに合わせた専用の吊り具も製作できるため、特殊形状の荷物でも安全で快適に運べるのだ。
ロボットとのコラボで搬送を自動化
【写真③】「バランサ ロボット コラボレーションシステム」のデモ。バランサが荷重を支え、ロボットが搬送や組立作業を自動で行うもう一つ今回の目玉が「バランサ ロボット コラボレーション システム」。これは、キトー電動チェーンバランサを使った重量物の移動を小型の協働ロボットがサポ ートし、作業を自動化できる新しい搬送システムだ。このシステムでは、通常は人が行うホイスト操作を、ロボ ットが人に代わって操作。電動チェーンバランサの高精度な荷重コントロールにより、ロボットの動作を妨げることなく荷重のアシストが可能だ。
これまで人が行っていた搬送操作をロボットで自動化できるため、工場の省力化や省人化を実現。「人が行う作業を減らしたい」という課題を解決し、生産性を向上できる。加えて、小さなロボットでも重量物ワークの搬送が可能なため、「大型ロボットを設置するスペースがない」「可搬質量が足りない」といった様々な課題も解決できる。
さらに、ロボットハンドを取り替えるツールチェンジ ャを用いれば、搬送のアシスト以外にも多目的でロボットの活用が可能だ。電動チェーンバランサでワークを正確に位置決めし、穴あけ用のドリルやネジ締めハンドに付け替えれば、一連の作業をロボット1台で行える。モ ータ組立てなどの複数工程でも、ロボットを用いた自動化が実現できる。その上、組立作業中に作業員が別の作業を行えるため、狭いエリアでも効率の良い作業が可能となるのだ。
大型ワークの空中搬送で床面を有効活用
【写真④】「大型ワーク搬送システム」のデモでは、鉄板など最大250kgの重量物を天吊りで正確に移動最後に紹介したいのが、「大型ワーク搬送システム」。鉄板など最大250kgの重量物を天吊りで移動できる搬送システムだ。「バランサ ロボット コラボレーション システム」の一形態といえるが、これは大型ワークの搬送に特化したもの。キトー製の定格250kg 電動チェーンバランサ「IH1S-250」と、10kg可搬の人協働ロボットを天吊りすることで、鉄板など最大250kgの重量物を静かに正確に搬送できる。キトーの移動式クレーンシステム「BIGモバイルライトクレーン」を用いれば、天井クレーンの設置されていない作業現場でもバランサやロボットを天吊りでき、3次元の曲線的な荷役搬送が可能となる。
これにより大型ワークを天吊りで空中搬送できるようになり、床面の有効活用が可能だ。床面の段差や荷物を気にせずワークの移動ができ、床を走る無人搬送車(AGV)や人の移動も妨げることがない。クレーンや重機の入らない場所からも搬送が可能で、工場や倉庫内を天吊りで自由自在にワーク移動ができる。そのため、工場の床面も活用できるうえ、搬送効率も大幅にアップできるのだ。
このように現場の作業を改善する搬送システムを次々と提案し続けるキトー。同社の製品から目が離せない。