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注目企業・特集2024年10月号掲載

〜キトーの製品 & 技術紹介〜
ユーザーの課題解決に邁進する業界のリーディングカンパニー

アプリによるカスタマイズでさらに満足度の高い使用感を追求
キトー(東京都新宿区西新宿2-4-1 新宿NSビル9F)

https://kito.co.jp/

直感的な操作が可能な「電動チェーンバランサ」 画像直感的な操作が可能な「電動チェーンバランサ」 キトーは、チェーンブロックやロープホイストなどのホイスト機器を主力とするマテリアル・ハンドリング機器の総合メーカー。今回の「JIMTOF2024(第32回日本国際工作機械見本市)」では主力製品である「電動チェーンバランサ」を展示する。
同製品は、無重力のようなバランス感覚で荷物を両手でハンドリングできる搬送装置。直感的に操作ができ、高い応答性と超低速動作によって安全に正確な位置決めが可能だ。また、無線操作にも対応しており、大きい吊り荷の搬送や長い揚程が必要な環境でも安心して使用できる。年齢性別を問わず、誰でも素早く安定した作業が可能になる扱いやすい製品で、定格荷重30kg/60kg/ 75kg/150kg/250kgから選択できる。加えて同社では繊維スリング、チェーンスリング、リフティングポイントなどの吊り具のほか、段ボールや一斗缶、ガラス、タイヤ、プラスチックコンテナなどに対応する専用吊り具も取り揃えている。運びたいものに合わせた専用の吊り具も製作できるため、特殊形状の荷物でも安全で快適に運ぶことができる。
また、同製品を支える架台として、キトーでは足元がキャスタータイプのクレーンシステム「モバイルライトクレーン」を用意している。天井クレーンが設置できない場所でも最短1日あれば組み立てが可能なため、比較的簡単に導入でき、設置後の移動も可能だ。寸法の決ま った既製品のほかに、ユーザーの使用環境に応じた特殊仕様の寸法にも対応できる。
誰もが簡単に使えて重量物を楽々と搬送できる。同社はそんな機器を提案することで、製造現場の作業効率アップに貢献する企業だ。

アプリでより使いやすくカスタマイズ

診断データの閲覧や使用状況のモニタリングが可能 画像診断データの閲覧や使用状況のモニタリングが可能 今回、注目なのがバランサアプリ「KITO Connect」だ。手持ちのタブレットやスマートフォン(Android™端末は非対応)に無料のアプリケーションをダウンロードすることでバランサとBluetooth®で接続し、荷重表示や診断情報の照会をはじめ各種モードの切り替えや、速度・感度の調節からフックが動く範囲などの設定が可能になる。これによりバランサを、よりユーザーの使いやすいようにカスタマイズすることができるのだ。専用のPCを用意したり、ソフトの書き換えなどをしなくても、タブレットやスマートフォンひとつで細かく設定することができる同社独自の機能となる。
使用状況をモニタリングすることもでき、特に荷重別昇降時間、起動回数、エラーログなどの診断データはメンテナンスにも役立てられる。故障や異常などの履歴確認も可能なうえ、異常が発生した場合にどういった対応が必要なのか、例えばリセットをかけるようになどという復旧方法の指示もアプリから得ることができる。アプリ 上で復旧できない場合はサービス対応となってしまうが、対応スタッフもアプリで異常発生時の状態を確認することができるため、従来よりも迅速な解決が可能になる。
ユーザーの使い方に合わせて細かく対応するためには、これまではメーカー対応でプログラムを書き換えたり、操作に熟練した管理者などがPCから接続するとい った手間のかかる対応をせざるを得なかったものが、ユーザー自身がタブレット等で手軽に行えるようになったことは大きいだろう。もちろん「KITO Connect」の操作は一般的なスマホアプリと同様で直感的に行えるため、誰でも簡単に扱える。しかも必要に応じてバージョンアップしていく予定なので、こちらもどんどん使い勝手が向上していくことが期待できる。
これまではすでに導入した製品に変更を加えるのは困難だと思われがちだったが、この「KITO Connect」の登場によって、動作変更などの細かい要望にもユーザー自身で対処できるようになり、ますます使いやすくなるという仕組みになっている。まさに自分好みのバランサに「育てていく」ことが可能なのである。この「電動チェーンバランサ」自体、もともと完成度が高い製品ではあるのだが、このアプリによってさらにその満足度を高めることができるだろう。

展示品以外にも注目の技術や製品

「電動バランサ複数台制御」の展示の様子/シュマルツとのコラボレーションによる「吸着吊り具」 画像(写真左)「電動バランサ複数台制御」の展示の様子
(写真右)シュマルツとのコラボレーションによる「吸着吊り具」
今回の「JIMTOF2024」展示製品以外にも特筆すべき製品・技術はまだまだある。
まずは「電動バランサ複数台制御」だ。1台で持ち上げるのが難しかった長尺物や大型のワークを、複数台のバランサを連動させて持ち上げることができる。これまで難しかった「複数台のバランサによるリンクした動作」を可能にし、バランスの悪い偏荷重ワークも安全に支えて搬送することができるのだ。
ほかにも、掴むことが難しいワークを吸着させて搬送できる吸着吊り具は、真空機器の専門メーカーであるシュマルツとのコラボレーションで実現した。バランサと吸着ユニットとの組み合わせはこれまでにも要望が多かったため、そうした需要に応えた形になる。
(左記の写真は2024年9月10~13日に東京ビッグサイトで開催された「第16回 国際物流総合展2024」の展示より)

いよいよ500kgクラスのバランサが登場

ところでキトーでは現在、定格荷重500kgクラスのバランサを開発中だ。他社ではとうに販売中の500kgクラスのバランサをなぜ同社が出していなかったのか。そこにはホイストメーカーとして90年以上の歴史を持っている同社だからからこその、安全に対する思いや葛藤があった。500kgというラインを境にクレーンの法規上の扱いは変わってくるのだが、そればかりでなく、もし事故が起こった場合には、それ以下のクラスとは比較にならない甚大な被害をもたらす可能性が否めない。そのため、ユーザーに絶対的な安全を提供するにはどうすべきか、安全機構をこれまで以上に確実にするには何が必要か、同社は慎重に検討を重ねていたのだ。
そしてようやく、もしもの時にも安全に止めることができる機械的な安全装置を付加した製品が開発され、満を持して登場するタイミングが近づいているという。今後のキトーの動向に注目だ。

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